ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

ゲーム実況という文化

ニコニコ動画の登場によりゲームのプレイ動画のみならず実況しながらの動画、そしてそれを楽しむユーザーが急速に増えたように思う。

たがゲームを販売したり開発したりする側にしてみれば、動画の存在によりネタバレになり、購入せず視聴で満足してユーザーのプレイの機会を奪っているという側面で容認しにくい面がある。

事実、影響は大きいだろう。プレイ済みのユーザーが楽しんでいる割合が大きいかも知れないし、動画が購買のきっかけになっている側面もあるとは思うが、購入の機会を奪っている影響も少なくないだろう。
(少なくとも私自身はなかなかプレイする時間が確保できない点から、新作ゲームを動画でチェックすることが増えてしまっており、そうすると手触りは確認できないが購入動機が失われるくらいには満足してしまっている)

なので開発者が「実況動画を楽しんでいる」と発言するのは若干タブーな空気がある。

ついでに言えば「ゲームソフトを中古で買う/売る」も開発者側のタブーなので、少なくとも会社名と本名を表に出しているクリエイターがTwitterで呟くことはほぼ無いだろう。それから「はちまやJINを楽しんで読んでいる」というのもタブーの一つだ。これは芸能人がスキャンダル雑誌を愛読しているようなものだろう。

しかし、実況者が素人で実況がどんなに拙くても、これだけ動画が溢れていて、それを楽しんでいる視聴者が溢れている現状から、これは立派な文化だと言える。こんな低俗なものは文化と呼べないというようなゲーム開発者の意見も見かけるが、文化かどうかは開発者が決めることではない。

 

PS4やXboxOneがリリースされる前は、ゲーム実況動画の存在はゲーム業界にとっては悪影響になるかどうかはタイトルによって変わるので、扱いが難しいように感じた。

逆に視聴者側は「宣伝効果になってるからいいじゃないか」という意見を発信しているのをちょこちょこ目にするが、それはそれで傲慢というものだ。宣伝になっているか判断するのは販売している側だ。

そんな中、序章だけは配信OKだとか、キャンペーンモードは配信禁止だとかをメーカーが明示するケースが登場し、特にニコニコ動画ではルールは意外と守られていたように思う。日本という国はルールが定められると守らない人間を排除しようとする性質が強いので、それもあるだろう。

もちろんタイトルやメーカーによっては配信OKを公式に謳うものも増えていった。

えどふみというメーカーから正式に依頼を受けて実況する、プロの実況者も出てきた。

そして今や据え置きハードには録画とアップロードの機能が標準搭載されている。

ゲームと実況動画は今後益々、ゲームと切り離せない存在になるだろう。ゲーム開発者は、もはや実況動画を想定してのゲーム内容やサービスを考える必要が出てきているのだ。