ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

任天堂に入るには?

任天堂は日本のゲーム会社の中でも入社するのがとりわけ難しい会社な印象がある。

かつて非常に優秀な知り合い何人かが、中途採用で応募してダメだったという話を聞いてきた。

でも私には何となく理由が分かる。

どんなに優秀でも、任天堂は即戦力として刹那的に活躍する人材よりも、長く貢献し続けてくれる人材を求めているのではと私は想像する。つまり「定着(すぐに辞めたりしない)」して「真摯・真面目」な人だ。

開発者で優秀な人というのは、業務内容に対するやりがいだったり、自分が持つ技術を発揮できるかどうかが動機のベースだったりして、またどこでも転職できる自負があることからアッサリと辞める傾向があるという面も持ち合わせていると思う。

任天堂はあくまで低年齢層を含めた全年齢向けに、色々な面でユーザーフレンドリーな製品を提供しているように思う。それは価格を抑えていることも当然含まれるし、そうするとハードスペックがPSやXboxと比べて下がるのも頷ける。そうすると開発側としては最新技術をどんどん試すというタイプの開発ではないし、それよりも製品の内容(体験)を重視して真摯に取り組んでいるタイプの会社だと感じる。

そういった姿勢に対して賛同するような人間かどうかが問われているのではないだろうか。

つまり、企業文化や業務に対するスタンスが肌に合わない人間はそう遠くないうちに辞めてしまうからだ。

もちろん社内の新陳代謝は必要だろうが、人の流動がよくある職場環境というのは組織全体の成長・機密の保持の観点からも企業側にとって悪影響が多いと考えるものだと思う。優秀な人ほどプロジェクト途中で抜けられた場合のリスクも高くなる。

そもそも、任天堂という会社は昔から離職率が非常に低い会社という印象がある。

何せこれだけ人材の流動が日常的な業界で「元任天堂です」という人が会社にいたり、応募に来たり、実際に出会ったりすることが滅多にないからだ。

もし実際に定着率が高いとしたら、その理由は色々とあるだろう。

考えられるのは‥給料が高い、納得のいく人事評価がなされている、やり甲斐のある仕事に関われる、などがあるのではと思うが、何よりも会社の方針・文化・示されるビジョンに賛同しているということが大きいのではないか。

待遇が良く、会社の方針に賛同できるという状態は、キャリアパス等について余計なことを考えず業務に集中できるという状態にも繋がる。

任天堂はそういったあたりのマッチングをかなり重要視している会社なんじゃないかと思うのだ。

なので任天堂に入社したいと思うなら、企業文化に考え方が合うことがはっきりと伺えるような、何かしらの強い理由が必要だと考える。一度そのあたりを自ら問うてみてはどうだろうか。

私は任天堂のスタンスが好きだし非常にリスペクトしている。が、この辺りをよくよく自問すると私は合ってないなと思う。その辺りは簡単に見抜かれるだろう。

ついでに言えば、純粋に業務において「優秀だ」というのは単なる前提条件だろう。年齢が高い人ほど、優秀であることは必須条件になっていくのではないか。