ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

Ubisoftの開発について

こちらの記事を読んで。

今ならわかる。

Ubisoft本体のシリーズものの大規模プロジェクトは、開発序盤に新技術を検証して投入しつつタイトルのコアとなる新要素を実装すれば、後はアウトソースの管理に追われるだけの仕事と言えるのではと想像する。

アウトソースしていなくとも、大量のアセットを制作しなければいけない中で一体どれだけの人がクリエイティブな作業に関われることができているのかという問題がある。

プロジェクトの大きさから全体を把握できているスタッフが存在せず、専門分野ごとのセクションに分かれて“工場のライン工”のように働き、どのスタッフも替えのきくひとりでしかなかった

何がしんどいかというとこちらだろう。

記事中で会議について語られているように、自分の意見が反映されることは珍しいかも知れない。

もしもそういった大規模シリーズに関わりたい!と思っている場合は、目的を明確にしないといけないと思う。

例えば技術を自分のものにしたい場合だ。

これは入社さえずれば簡単というようなものではない。膨大な業務の隙間に他人のデータを開いてゆっくりチェックする余裕が無かったり、職人技を発揮するベテランが気軽にノウハウを伝授してくれるような環境じゃないかも知れないからだ。

その中で、残業や休日出勤してでもデータの中身を見て学び、普段から情報収集と自己研鑽を行い、スキルを発揮して社内で一目置かれる存在になり、ベテランの技術をどんどん自分のものにしていく‥ということができるだけの意志力を持てるのはほんの一握りの人間だろう。

だけど目標があると人間は強い。ただ任された業務をやり遂げるだけに終始する人間よりもモチベーションは持続でき、そういった環境でのストレスを少しでもスルーできる。

「もう十分だ。もうこのチームから学ぶことは無い」と思えたなら、会社を離れて自由にすれば良いと思う。

だが、技術の先端を行く企業というのは非常に能力の高い人間が多数在籍しており、刺激もあり、またそういう環境から離れると最先端の持続が途端に難しくなる。

また、うってかわってマネジメントに興味ある人間にとっては、大きなチームをコントロールするというやりがいもあるだろう。

そういった職場に魅力があるのも事実なのだ。

Donuts社のRMT問題に関して

最近またソシャゲ界での問題が話題になっているが‥

ここで取り上げられているDonuts社のRMTリアルマネートレード)問題について考えてみる。ちなみに私のRMTに関する知識は浅い上に古いので、今後調べるためのメモ程度のものになる。

さて、気になるのは以下の点。

①ユーザーがソーシャルゲーム内データを購入できる
②ユーザーがソーシャルゲーム内データを販売できる(お金を得ることができる)
ソーシャルゲーム運営側がゲーム内データをユーザーが売買できる場を提供している
④運営側がユーザーを装ってゲーム内データを売買している
⑤売買するデータはガチャで得られることからギャンブル要素が強い
⑥売買されるのはデジタルデータである

さて。

①に関しては、特に問題ないように思う。
ゲーム内の専用通貨を購入したりDLCを購入するのは昔からあり、今も主流だ。
ただその内容で物議を醸すことはあるが。例えば家庭用ゲームのテイルズオブヴェスペリアでレベルアップやゲーム内通貨をDLC販売したような例だ。個人的には「ゲーム体験が損なわれないようちゃんとゲームデザインが設計されている」ならアリだと思うが。

②に関しては、問題になりそうだ。
オンラインゲームではRMT業者がユーザーからゲーム内通貨やアイテムデータ等を買い取るということがあり、RMTを禁止している運営側から業者が摘発されたり、また売買に関与したユーザーのアカウントを削除するといった対応が昔から随時行われてきていると認識している。
また、10年以上前の話になるが、ハンゲームにてユーザー同士でアイテムの売買が行われていたことが問題視されていた記憶がある。その際にYahoo!オークションが利用されていたりもした。FF11でもRMT業者のHPだったか、掲示板等で廃人装備のキャラクターをアカウントごと10万や20万といった額で販売するといった光景もあった。クラーケンクラブがウン十万で販売されていたりというのはFF11ユーザーなら懐かしい話だろう。
これらユーザーによるゲーム内データの売買そのものが法律的にどうかというのは分からない。まだルールが定まっていないという認識で合っているのだろうか。デジタルデータは劣化しないため中古という要素が無い。著作物であることが多いだろうから著作権者(運営側だろうけど)が許可していないならアウトだろうが、許可している場合はどうなるのか。

③に関しては、ゲーム内データや通貨の販売を運営側が公式に行うという事例は昔から普通にあるように思う。いわゆる公式のRMTではエバークエストの例を知っている。最近ではディアブロ3が行っていたとか。ただそれらは運営側が売るだけで、その場合は何も問題ないだろう。こちらもやはり問題になりそうなのはユーザーが販売できるという点だろう。

④これは問題ではあると思うが、どういう種目になるのだろうか。詐称罪あたりなのか?

⑤運要素が強くゲーム内データを得るために高額の費用が発生する可能性があるという点に問題があるのだろうが、例えば食玩はガチャに近く「シークレット」というレアものを入手するために買い続けたり、イエローサブマリンYahoo!オークションで手に入れる人もいる。じゃあこれは法的にOKなのか?ゲーム内データとどう違うのか?と純粋に思った。ビックリマンシールもそうだが、食玩などの場合は商品そのものではなくおまけであることが要点になってくるのだろうか。

⑥デジタルデータということは、運営側が確率をいつでも簡単に変更できるという点と、先にも書いたが劣化しないので中古という要素が無い点が大きそうだ。

このあたりは私にはサッパリ分からないので、情報を追っていきたい。

引き継ぐ、ということ

漫画でも何でもそうだと思うのだが。

例えば藤子不二雄先生がお亡くなりになっても、アニメのドラえもんは続いて子供達が(親子が)楽しみ続ける。

それを産みの親ご本人がどう思うかは分からないが、少なくともビジネスとしてはお客様が喜びお金を生んでいるのであればとても良いことだ。アニメ制作会社に正当な対価が支払われているかは別の問題として。

ゲームもそうだと思っている。

著名なクリエイターによるシリーズものが20周年、30周年となってきているが、そうなるとご本人は50歳前後になってくる。

開発に張り付いてゲームを隅々まで目を光らせて、日々開発スタッフに檄を飛ばす‥というのを求めるには無理がある。

一歩、二歩引いた位置から全体を俯瞰して開発に関わる。代わりに全体を細かく統括する信頼できる片腕を置いて任せる。至極当然のことだ。

逆に言えば、そうやって引き継いで行かなければならないということだ。うまく引き継げずに、育てられずに現場に居続けるということは、その人の衰えとともにコンテンツが終わりを告げるということだ。

だから、著名なクリエイターがどれほど密接に関わっているか興味はさほど湧かない。作品が素晴らしいものになっていたら、その作品を支えているスタッフに関心がある。

VRは普及するのか?

Oculus社のRiftのお値段から、とても一般家庭に普及するようには感じないのだが、果たして商売として成り立つのだろうか?

 

結局キラーソフト次第というのはあるとは思う。思うが、一般消費者にとってゲームの周辺機器には1万円さえもハードルが高いと思うのだ。

例えばだ。
この春にでもWiiU向けにスプラトゥーンの新作を任天堂が発表し、その3ヶ月後にはWiiU対応Riftでの試遊会が全国各地で行われ、その1ヶ月後には安価で多様なVRゲームが同時発売され、Riftが同梱されたスプラトゥーン新作のお値段は1万円。

‥これなら50万台くらいは行くんじゃなかろうか。実現可能かは別にして。

でも酔いからクレームも沢山出るのではなかろうか。
下手にスタートダッシュをかけて失敗したらすぐにVRに終止符が打たれかける可能性が考えられるのではないか。
そもそもOculus社のRiftは13歳以下に使ってはならないというガイドラインを設けているそうだ。3DSの小さな画面での立体視とは違い、没入感も大きければ影響も強いだろう。そういう意味でも安全性に自信が持てるまでは任天堂も手を出すとは思えない。

 

そんなVRが普及するイメージが全く湧かない。

外界から閉ざされるのも印象が悪い。
遊んでいる人を観ても面白さが全く伝わらないのも厳しい。

AR‥電脳コイルの電脳メガネならまだ分かる。
販売が実現したとして実際にどこまでのコンテンツが提供されるのか分からないが、ARは現実世界の遊びをさらに広げるものに思える。子供達の中で爆発的に人気が出たりはしそうだ。だが、電脳メガネが1万円以上する上に壊れやすいデリケートな機械であれば母親は買い与えるか非常に怪しい。

成功者の告白

物語形式で想像しやすく、展開が早く面白くてこの2日で通勤時と帰宅時で一気に読んでしまった。

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

 

また感想を書きたいと思う。

とりあえずは読んだ記録として。

部下を定時に帰す仕事術の感想1 工数割り出し

この土日に、佐々木常夫さんの著書「部下を定時に帰す仕事術」を読んだ。

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

 
部下を定時に帰す仕事術 (ポケット・シリーズ)

部下を定時に帰す仕事術 (ポケット・シリーズ)

 

この本では著者の経験談を元に、課長クラス向けに仕事の時間管理、ひいては会社員個人のライフ・ワーク・バランスと会社の成長について語られている。

ご本人が壮絶な人生を送られており、差し迫った状況を打破しながら実績を積み重ねて会社を登りつめていかれているが、大学時代での家庭教師の成功話からも、恐らく状況に関わらず能力の高い人であろうことが伺える。

非常に読みやすく書かれており、200Pほどというのもあって一気に読めた。

ゲーム開発にも当てはまることがいくつもあり、考えるきっかけになりそうなので何度かに分けて感想を書いてみたいと思う。ただし、読んで得たものを忘れないよう自分へのメモが目的なので、本書を読んでいない人向けの記事にはならないと思うのであしからず‥

 

作業見積もりについて

少し前に、ゲーム開発での見積もり精度の低さについて書いた。

偉そうに書いてはいるが、私自身が高い精度で見積もれるかというと全くそんなことは無い‥
本書では、佐々木氏が仕事時間を切り詰めないといけない状況に立たされた際、まずこの1年を振り返って、実際にかかった工数と本来の工数を割り出し「60%が無駄だ」と判明したと書かれている。

これは、振り返って分析しないと誰も気付かず年数を過ごしてしまうという恐ろしい話でもある。

そして、開発期間がタイトルによって非常に不規則なゲーム開発において「去年の今頃何をしていたか」や「この1年では何にどれくらい時間をかけたか」を工数を割り出すほど具体的に振り替えることはなかなか無いだろう。

例えリード職で無くとも、自分が過去に行った作業に対して振り返るだけでも、今よりも確実に一歩ビジネスマンに近付けるように思う。

ゲーム開発職は「芸術品を創造するアーティスト」であるかのような美徳が存在する。
それはプライドやモチベーションにも繋がり、大切な面もあると思う。
しかし、まずは予算と納期を守って売上を達成しなければ存続できないのも事実で、その足枷の中で力を発揮できる人こそが、様々なプロジェクトを経つつもずっと活躍し続けていけるのだろうと考える。

プロダクトアウトか、マーケットインか

メモっておく。

ゲーム開発においても、しばしば「自分たちが最高に面白いと思うものを作れば売れる」という考え方と「遊び手が求めているものを作れば売れる」という考え方での議論が行われることがある。

また何かの合間にでも考えてみたい。