ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

知識とモチベーション

前回に大規模開発の現状について書いた。

そんな中で今の従業員達はどんな知識やスキルを身に付けて、どんなモチベーションで働いているのか。

彼らは本来は職人気質なので、細部に拘って作り込むのが好きな人間が多いように思う。そのため非クリエイティブな作業は苦手だし、状況が許せば作業に没頭したいだろう。

そうすると新しいツールを覚えたり新しいワークフローに馴染んだり新しいハードや表現のために検証したりが増えている現状ではストレスが溜まる一方だ。

また特にアーティストの作業がアウトソースや出向頂いているスタッフへの指示やアセットの管理が主になってくると、モチベーションは益々低下する。

本来管理職として活躍しているならそれだけの手当てが支払われれば少しは緩和されるかも知れないが、長時間・長期間の非生産作業はクリエイターのモチベーションをジワジワと削っていく。

その上でクライアントやディレクターは無茶な要求を行い、作業者との中間にうまく要求を現実的なところに落とし込めるクッション役の人材が居ないと現場は大炎上する。

なぜそんなことになっているのか。

大規模開発で求められてきているのは高コスト化への対処だ。つまりいかに効率的に計画通りに作れるかだろう。職人達が最も苦手とする分野だ。

それは表面的には、ゲームエンジンを採用して粗いサンドボックスで遊びを検証して徐々に見栄えを詰めていくことであったり、また自前実装が大変なところはお財布を見ながらミドルウェアの導入を検討することであったり、アウトソースを利用することであったりする。

しかし、ゲームエンジンミドルウェアを突然導入してすんなりと作れるかというと、実際には覚えることも検証も山のように発生して難しいだろう。アウトソーシングも突然できるようになる訳がないのは前回でも触れた。

アーティストはそんな中でどうやってモチベーションを高めればいいのか?

それは絵作りしかないように思う。時間を捻出して絵を提示するのだ。

また、めまぐるしく変わる業界に対応するためアーティスト自身も努力が必要だ。慣れたツールや概念を手放して新しい環境に対応する必要もある。

そんな私も、老害とならず今後も活躍していける人材となりたい。