ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

オクトパストラベラーのUIに対する不満について

プレイ途中の感想を忘れないうちに書き留めておこうと思う。

本作のプロデューサーは、光の4戦士やブレイブリーデフォルトでプロデューサーを務めた浅野氏と、ブレイブリーデフォルトでアシスタントプロデューサーを務めた高橋氏。開発はアクワイア

プロデューサーによるコンセプトなのか、本作もゲームのルックに加えゲームシステム面でも従来のRPGから一工夫練られたものになっており、ブレイブリーデフォルトに通じるものを感じる。

ルックで言えば、マップの「箱庭感」と光を感じる美しい景観。ボケが強くてミニチュア撮影風でもあり、狭いが観ていて楽しい。リアル寄りの水表現とも奇妙にマッチしている。

ゲームシステムは行動によって溜まるポイントを消費したり敵を崩すことで大ダメージを与えられる、爽快感重視なものになっている。しかしそれを活かすバランスに仕上げているためか、序盤の雑魚でさえHPが高くブレイクしないと戦闘がやや長引く印象があり、後述するUIのレスポンスも相まってテンポがぎこちなく感じる。

これらはもしかしたらプレイを進めるうちに解消されていくのかも知れないが。

さて、本作をプレイしていて気になるのは、アートワーク全体に受けるややまとまりに欠ける印象がある点とUI周りで受けるストレスだ。新しいビジュアルを押し出していて魅力的なのにインディーズ感があるのはこれらに隙を感じるためだと思う。その点、光の4戦士やブレイブリーデフォルトにはそういった隙は感じなかった。グラフィックを監修していたであろう吉田明彦氏の存在が、本作との大きな差になっているようにも思える。

‥という訳で、相変わらず偉そうに書き綴っているが、私自身の今後の開発のためにも気になったところをメモしておきたい。

アートワークとUIとの兼ね合いについて

まず画面全体のディティールの統一感の無さが気になった。

3D空間上にドットを描いたポリゴンを配置している訳だからカメラに近いほどドットが大きくなるため「ドット絵としての全体の解像度」の統一感が失われるのは当然だが、そうではなくキャラ&背景とUIとの要素間での統一感が気になる。UIだけでもやけにディティールがある部分と無い部分が混じっている。例えばロード中のアイコンなどディティールをもっと落とした方が良さそうだ。

それから、画面遷移面で2点気になった。一見UIは無関係のようで、画面遷移は個人的にはアートとUIとの兼ね合いの部分と思っている。

まず、バトルへ移行する時の黒いスクラッチノイズが入る演出が微妙で勿体ない。steamでプレイしているため、プレイを初めてしばらくはグラボとの相性による描画の不具合かと思ったくらいだ。ドット絵をフィーチャーしたようなテイストを混ぜるとか、もう少し見栄えが良くてマッチする演出が欲しいように思う。戦闘終了時に黒い帯が上下から狭まる切り替え演出もちょっと簡素すぎないだろうか。

もう1つは屋内と屋外の切り替え時だ。ディザフェードで遷移させること自体は良いのだが、周辺のオブジェクトにチラつきが起こったりしていてこれもまた不具合のように見えて残念。ついでに言えば、屋内とその書き割りの外との背景のスケールがマッチしていないためディティールの差が激しくて気にはなるが‥こちらはやむを得ないか‥。ただ、屋内に入った際に屋外の領域はもっと思い切って暗くしても良かったのでは。

UIについて

1つは画面内の情報が整理できておらず、パっと見で分かりにくい印象。また、操作として不便に感じる点が随所にある。気になったものをざっと挙げてゆく。

・装備画面ではカテゴリ名と実際に装備したものとそれぞれにアイコンが付いていてパっと見で2列あるような違和感があり紛らわしい。

・ゲットしたアイテムがウインドウに表示される際にアイコンが無くてカテゴリが分からない。

・戦闘画面上部の行動順表示のデザインも分かりにくい。右側が次のターンというのは文字を読めばわかるが‥

・回復させる見方を選ぶ際など、選択中の味方キャラが分かりにくく(ゆっくり柔らかく明滅してはいるが‥)、はっきりと目立って光るのは画面上部の行動順表示のキャラアイコンだけなのは良くないように思う。視線も分散させてしまう。キャラの立ち位置によっては、選択カーソルがどのキャラを指しているか分からない時もある。

・一番奥の味方キャラが砂漠など背景によってはフォグの影響を受けてかなり背景に溶け込む。これは同業者としてありえないように思う。

・どの敵キャラを選んでいるかも瞬間的に分かりにくい。手のアイコンのデザインが平たんで目立たないように思う。陰影も全く付いていないしデザインとしてもあまり良くないルックに見える。

・戦闘時にコマンドでどこを選択中か分かりにくい。説明文が邪魔というのもあるが、手のアイコンが小さくパっと見で分かりにくい。それもあり、コマンドを行ったり来たりしている際に、逃げるコマンドをうっかり押したときの悲しさ。ここからも、SFC時代のFFのLR同時押しで逃げるという操作は直感的でもあり良く出来ていると感じた。アクティブタイムだからこそ生まれた発想だろうが、採用したら良かったのにと思う。逃げるコマンドは押した瞬間に決定がなされてしまうため、少なくとも間違って選択してしまうことが無い対処が欲しかった。

・戦闘時のコマンド位置を覚える設定にしていても、次回戦闘時には初期配置になる。例えば剣を主力にしたいのにダガーが、斧を主力にしたいのに弓が毎回選択されている状態で開始されるため煩わしい。

・戦闘時の敵を選択する際にカーソルの動きが直感的では無い。画面に動きを出すためであろう、カメラが微妙に左右に揺れる動きが入っているが、デフォルト位置をベースにスクリーンスペースで敵の配置の左右の序列を決めて、左右キーときっちり一致するように遷移して欲しいと思った。

・戦闘コマンドがカメラの揺れのせいかプルプル震えて視認性で問題がある。

・戦闘のテンポが悪い。行動と行動の間がやや長い。演出も派手だが早送りしたくなる。間をなるべく短くしてコマンド受付のレスポンスを良くし、かつR1ボタン等の操作で早送り可能だと良かった。

・新しいスキルが覚えられるだけのJPがたまってもUIに反映されないため見逃す。キャンプメニューのスキルの項目にマークを付けるといったような何か対処が欲しい。

・ワールドマップで今自分がどこにいるかが分かりにくい。分岐点の黄色い着色で判断させているのはどうなのか。

・序盤に手に負えないレベルの洞窟などを発見したりするが、ワールドマップに記録されず確認できない。せっかく見つけても適正レベルになる頃には忘れてしまう。

今パっと書き出したものが以上になる。

ちなみに基本的にUIのレスポンスは良いと思うし、ボタン押しっぱなしで小さい区切りでイベントをスキップしていけるのはとても良い。

ゲームそのものの感想はクリアしてから気が向けばまた書きたいと思う。

ただ、8人のキャラクターそれぞれに使命や目的があるのに、途中で出会った他のキャラのヘルプのために寄り道をすることを由とする理由付けの描写が全く無いため、このゲームは「操作キャラがただ8人いるだけでお互いの関係性が非常に希薄」になっていてとても残念。基本的にキャラごとのストーリーイベントでは他の仲間はいない状況で語られていく。

このあたり、開発側の視点としては最初のキャラクターもその後に味方にするキャラクターもユーザーが自由に選べるため、組み合わせ爆発を起こさないように合流イベントを考えるのは大変とは思うが、コストを抑えた見せ方もあるようには思う。

ちなみに‥

・暗いマップで暗部が緑に色飛びを起こしていてこちらも不具合に見える‥

・フィールドやダンジョンでは寄り道が分かる見た目にしていてほぼ宝箱が置かれているという作り自体はGoodだけど肝心の宝箱にロクなものが入っていないのがBad