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ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

ブラック企業や労働時間の話

ここ数年ずっとブラック企業や労働時間の話が絶えない。
そこで労働者の視点から理想の職場を考えてみる。

●スケジューリングについて

まずは「現実的なスケジュール」をちゃんとスタッフに提示する。
その際に会議や雑務分の時間を差し引いて、かつ残業せずに達成できるものに設定する。
そしてそのスケジューリングについて担当スタッフからのコンセンサスを得る。

●時間配分について

スケジュールと求められるクオリティラインを達せられるなら働く時間は自由、もし時間が余れば自分を磨くことに使うなり、コアタイムを越えてすぐに退勤するなり、他の作業者の仕事を助けるなりできる。

●人事評価について

スケジュールとクオリティラインを丁度で達成すれば評価は及第点なだけだが、予定よりも早くこなしたり、クオリティを超えれば高評価となる。
他の作業を前倒しにこなしたり、他の作業者の仕事をこなせばその分プラス評価。

逆に残業したり休日出勤することになればマイナス評価。
(ただし深夜残業手当と休日出勤の代休の発生は必要)

そして評価は面談等でちゃんと本人に伝えられ、評価に対するコンセンサスを得る。
その際に評価は伝えて終わり、ではなくキャリアパスへの道を示し、それにより給与アップなりより大きな仕事を与えるなりで何かしら形として反映する。

評価がしっかりと考えられ実行される中であれば、仕事を仕事と割り切って淡々と行い及第点の仕事ぶりをするスタンスは勿論OKであり、非難する言われは無いし、むしろ短時間で働いたりといったスタンスにも柔軟に対応されるのであれば働き方に幅が出て良い。

●会社側から残業や休日出勤を求める場合について

もし会社側の都合でスケジュールを早めることになった場合、それを担当スタッフにちゃんと説明してコンセンサスを得る。
残業や休日出勤が必要であれば上からお願いし、そうして無事に業務が遂行できればその分の報酬なり評価をプラスする。


‥以上だ。どうだろうか。これなら大多数の従業員が満足だろうか?

ゲーム開発現場で言えば、実際には様々なややこしい要素が絡んでくる。
例えば「面白さを求める」姿勢や「新しいことにチャレンジする」姿勢のために、目指すものを明確化して期間を定めて結果を出すというのが難しい。予想も立て辛い。

そしてスケジュールやコスト見積もりの観点で言えば上流工程に近付くほど意識が薄い傾向を感じる。
一番上流はディレクター、シナリオライター、次にプランナー(ゲームデザイナー)だ。
それから各グラフィックのアーティスト、そしてプログラム。
「アイデアを考える」側よりも「作業を遂行する」側の方がコスト意識が高いのは至極当然ではある。

それでも開発を受託する立場ならば契約を取り交わし、具体的な金額が発生するのでまだ計画通りに進めるための指標は立て易い(受託業務に企画立案が含まれていたとしても)。が、パブリッシャー内製の場合は良い作品を生むために妥協しない意識が高い半面コスト意識は低いケースもある。TGSやE3など突発的なプロモーション作業にも振り回され易い。

何が言いたいかというと、最初に挙げた「現実的なスケジュールを立てる」という部分がすでに困難な現場が多いのではないかという実情だ。

さて、ブラック企業を無くすにはと考えた場合、先程いくつか挙げた「理想の職場環境」をただ会社に求めるだけではだめだ。
例えば、twitter等でただ単に「残業するというのは無能の証」「こういう職場であるべき」とツイートするだけというのは、まったく建設的で無いように思う。

もちろん、残業が当たり前の風潮に対して社会全体で反論ムードを高めていくことには寄与しているかも知れないが。

しかしもしも「現状を変えるべき」と思うのであれば、ここからさらに実際に会社側の視点で理想に近い現場環境にどうやって切り替えていくか、その際に少なくとも業績をキープすることが可能かどうか、そのために管理職の人間を含むスタッフの教育をどうしていくべきか、ということを真剣に考える必要が出てくる。

昨今、特にゲーム会社なんかは経営が火の車であったり自転車操業であったりする会社も少なくないと思うのだが、そんな中でどう変わってゆけば良いのか‥?

従業員満足度が上がれば離職率は下がり、従業員に心の余裕が出れば仕事もよりうまく回っていく可能性はあると思うので、会社側にとってのメリットを提示できる部分はあるはずだ。

そして「従業員満足度」はただ単にお金と直結する訳ではない。働きやすさであったり業務のやりがいであったり活躍できているという実感であったり、納得のいく仕事ができたり世間で評価されたりと色々ある。

例えば会社にお金の余裕が無いなら、給与は低くともそれぞれのスタッフが思い描く働き方に沿った配属や作業分担を行って満足度を上げ、本人が望む働く分量に対して柔軟に対応し(当然、報酬と連動する)、副業を認めるといったような環境にしていくことも可能なのではないか。そしてそういうスタンスの会社はすでにあるだろう。

将来もしかしたらあなた自身が経営側に回っていくということもあるかも知れない。

この話は今後も考えていきたい。