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ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

ペルソナ5のプレイ感想と売り上げについて

ゲーム開発 ゲームレビュー

ペルソナ5をプレイしてようやく最初のパレスを攻略したところになるが、この時点でのファーストインプレッションについて触れておきたいと思う。

まず、昨今のペルソナシリーズと言えばユーザー層のみならず、ゲーム開発者の間でさえも「UIがスタイリッシュでお洒落なゲーム」としてメニューデザインについてよく取り上げられる。

だがペルソナはUIだけがスタイリッシュな訳ではない。ゲームのアート全体がスタイリッシュにまとめられているタイトルだと思う。
なのに「UIが」と話に挙がるのには、一般的な国内タイトルではあまりにUIが軽んじられているために特にそう感じられるのではと想像する。ゲームのアートというのはキャラクターも背景もエフェクトもUIもサウンドも全て含めてトータルで練り上げてまとめなければいけないものだが、私の知る限りでは国内の開発でエフェクト・UI・サウンドはディレクターや企画者からは軽んじられがちなパートだ。人員もほとんど割かれない。UIにおいては企画者が存在しない(画面の構成や遷移などはUIを担当するプログラマやアーティストが考える)というケースもある。
(海外タイトルはUIも含めて素晴らしいアートワークのタイトルは少なくない)

そしてペルソナは、キャラクターデザインとイラストワーク、TVアニメのようなムービーの挿入、キャラモデルやアニメーション、背景、エフェクト、サウンド、シナリオ、そしてUIを含めた全ての要素が、ゲームの世界観を魅力的にまとめあげているように感じられる。

これほどまでに出来の良いタイトルは、才能のある人間によってディレクションとアートディレクションがなされなければ作れない。各パートが個人的に頑張るだけではこうはならない。そういう面で、非常にリスペクトされるべきタイトルのように思える。

この「ポップでキャッチーなデザイン」はペルソナ4から特に強まったように感じたが、ペルソナ5では益々洗練されてきているように思える。

そんなペルソナ5PS3とPS4の縦マルチだ。DL販売も行っている。
PS4パッケージ版の売上ではすでにドラゴンクエストバトルロードを追いこしているのではないか。これはすごいことだと思う。

ペルソナ4は2008年7月に発売された。
ペルソナ5は2016年9月。前作から約8年経っている。
そしてPS4は2014年2月発売(国内)だ。

そこから、PS3ベースで開発されていたところへPS4がリリースされ、PS3とPS4とで縦マルチでリリースせざるを得なかったタイトルだと推測できる。
3と4でスペックもかなり違うため、PS4版ではレンダリング解像度やUIや3Dモデルのテクスチャの解像度を上げたり、ロード周りでより快適に遊べるようにといった対応がなされただろうが、しかしPS3で快適に遊べることが前提条件になるためできることは限られる。

PS3を切り捨てるという選択肢もあっただろうが、いかに海外のコアユーザーにも評価が高いと言えどもJRPGであり、あくまで主戦場は日本国内。そしてPS4の日本国内での売れ行きの芳しくない状況からはPS3は切り捨てられなかったであろうと想像する。

そして実際にペルソナ5PS3版が10万本近く売れている。

縦マルチは開発者にとって「重たい鎖つき鉄球」であり「悪夢」に思えるだろうが、結果的には縦マルチ分のコスト回収には繋がったのではないだろうか。コスト回収できているなら裾野は広い方が当然良い。開発側は大変だが‥。

グラフィック面ではPS4専用の大型タイトルを見慣れているユーザーからはやや物足りなさを感じるかも知れないが、2Dグラフィックを全面に押し出しているグラフィックコンセプト、また3Dモデルのテクスチャにもかなり描き込んでいたりするものの、ゲーム全体的にノンフォトリアル寄りというのもありさほど気にならない。良い塩梅とも言える。

それからテキスト量が非常に多く、仲間内での相談やSNSでのやりとりも豊富に用意されていて同業者としてはゾっとする。デバッグも含め相当な労力がかかっていそうだ。
しかしこのテキストが丁寧で深みのある世界観の一角を担っている。

それにしても非常に素晴らしいIPなだけに開発期間が長くなりすぎるのは避けるべきタイトルであるとは思うのだが、後進が育たずにコアスタッフ依存度が高い状態で年月が経つと高齢化とともにシリーズ存続が危うくなったりもしそうだ。続編もペルソナ5のグラフィックから大きく変えようとせずに、効率化を図り開発コストを下げていく方針が良いようには思う。開発が長期化するとどうしても技術も陳腐化するので、普遍的な魅力を押し出す方が良い。そしてそれが可能なタイトルだ。
ただ、ストーリー重視のタイトルの場合、開発期間はシナリオ制作にどれくらいの時間をかけているかによって大きく左右される。コンスタントにリリースできるかはこの辺りも大きいように思う。
これが、何を思ったのか「これからはPBRだ」「リアルタイム破壊だ」「キャラクリエイションだ」「オープンワールドだ」「24時間リアルタイム経過だ」「ネットワーク対戦だ」「VR対応だ」みたいなことを言いだす上層部が現れた際にはとても厄介なことになるかも知れない。
次のリリースが10年を超えないことを祈るばかり。

話は逸れたが、とりあえず最初のパレスを攻略した段階での感想を書いてみる。

まず、最初のパレスの時点でかなりのプレイボリュームがあり、ダンジョンは少しずつ探索を進めて何日かかけて攻略する前提になっているためボリュームは大きく、話もなかなか進まない。
戦闘は戦略性がありテンポも良くはあるが、ダレてくる。

初回クリアに80日や100日かかると言われるこのシリーズのボリュームは今回も健在なようで、時間の無い社会人‥特に同じ開発者にとってはクリアを目指すのは非常に厳しいタイトルだ。

ただ、日常パートとパレスどちらも目的地に自由にショートカットできたり、「怪盗」らしくカバーアクションからの奇襲が流れるように行えたりというのはテンポが良く快適だ。

しかしそれも欲を言えば、エリア間移動や戦闘終了後の演出をもっと短くしてもらいたかった。特にバトルでは総攻撃で終了した時のリザルトの方がテンポ良く終了するというのはどうなのだろう。

グラフィック面では2D的な演出がアクセントになっていてとても良い。カットインの表情の豊富さもすごいが、特に3Dのモルガナの表情切り替えや移動時の下半身の渦巻きなどはキャラクターをより魅力的に見せていてとてもプラスに働いている。

3Dキャラモデルはペルソナ4までとは違ってデフォルメ等身ではないのも良い。デフォルメだとどうしてもシリアスなシチュエーションに若干の水を指す。主人公キャラクターのシェーディング‥描き込みとスペキュラと影のまとめ具体はもとても良いように思う。悪魔は敵として登場した場合には下半身を暗くして赤い模様のある専用のシェーダが入るのも良い。

背景は特にパレスで人間の内面を表現したデザインが秀逸に感じる。

エフェクトも全般的にクオリティが高く目を見張るものがある。新しいペルソナを手に入れるシーンなど非常に洗練されているように感じる。また、パレスで画面周辺に入る幾何学模様や、輝度の高い部分にポストエフェクトで横長のグレアが入るのも良い感じだ。

バトル中のコマンドの表示などUIもやはりスタイリッシュでとても良い。
リザルト画面の演出やキャンプメニューでメニューを掘り下げるごとに背景に変化が出る部分などは少々やり過ぎに感じるものの、こだわりを強く感じる。メニューの遷移速度は速くとても快適だ。このレスポンス、見習いたい。

キャラクターのイラストも相変わらず美麗で、会話シーンではついつい見とれてしまう。1080pでプレイしていてグっとくるのは他のどのグラフィックよりもイラストではないか。

その反面、3Dキャラモデルをイラストにもう少し近付けて欲しかった。
特に目のあたり‥カメラから離れていると眉がないように見えるからだろうか、地味な見た目になってしまっていて勿体ない。

モーションではバトルのリザルト演出などとても良い感じだが、反面、戦闘中のモーションは新人に任せたのだろうかと思う場面がちらほらとある。主人公たちのガードモーションやモルガナのアイドリングなどは見る度に気になってしまう。

カバーアクション時の移動に関しては、カバーポイントごとに視線の稼働域に制限があり、前方の次のソファーに進みたいのにソファーを回り込むように動いてしまったり、その際にカメラが壁の方を向いてしまってせっかく近付いてきた敵を強襲できなかったりとストレスがある。ただ、カバー時にはすぐそばに敵が来ても見つからないという「甘さ」はとても良い。

また、移動操作のレスポンス的にもクセ(重み)があるため、操作キャラクターのすぐそばにあるが目の前からやや外れているオブジェクトを調べたいのに行ったり来たりして手間取ったりするなど、操作周りのクセにストレスを感じる。

ダンジョンのマップ移動に関しては暗転演出もスタイリッシュで緩和はされているが、PS4専用で開発していれば全エリアの移動をシームレスにできただろうと思うと少々残念だ。

‥と後半は文句ばっかりのようだが、これらは気になったところを挙げただけでトータルでは非常に丁寧に作られたタイトルであると感じるし、キャラクターも良い(特にモルガナが現実世界で猫になるのはズルい!)。現時点では「長い‥!」と感じつつも満足しながらプレイしている。