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ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

ゲーム開発の職人はどこへいくのか?

例えばスーパーファミコンSFC)の時代。
プレイステーション(PS1)やプレステ2PS2)の時代。

この頃は、職人が沢山いた。
グラフィックデザイナーであれば、SFCではドッターが。PSではローポリモデラーが。

同時に、ゲームソフトは売れて業界は潤っていた。
大手のパブリッシャーも内製タイトルが多く、開発にお金を投入しても回収ができていた。

据え置き機の性能的にも表現にはかなり限界があり、そのために小規模の人数で制作が可能であったし、制限の中での工夫が必要とされた。

それゆえ、この頃が最も職人気質の開発者による「匠の技」が極まっていた時代と言える。
テクニックは個人の中で秘匿され「見て盗め」という空気のある時代。
秘伝のタレの製法は、同じ社内でも共有はされない。

しかし、PS3以降は可能な表現が一気に膨れ上がり、制限の性質も大きく変わり、開発費が高騰し、開発期間や人数が膨れ上がった。PS4でもその状況は改善されていない。

そんな中でも職人気質を発揮して作っていこうとするのは超高層ビルを伝統的「匠の技」を駆使して手作業で作ろうとするようなもの。ただ作り上げていくだけでも膨大な作業の前に職人たちの疲弊は免れないし、ビルを建てている途中で仕様変更があれば受けるダメージは莫大なものになる。

そうすると、効率化を図る動きが出てくるのは当然のこと。
自動化できるところは自動化し、余計な作業は省力化を図り、ゲームエンジンを利用し、購入アセットを活用、量産物は海外にアウトソースし、社内であっても人材派遣や出向形態での人材を活用する‥

実写のようなリアルな画作りを目指したゲームにおいては、特に海外のゲームエンジンの普及、そしてPBRやディファードレンダリングの普及によって省力化されてきている。アウトソースも行い易いだろう。
モーションキャプチャーはかなり前からあるが、今ならフォトグラメトリも採用するケースが増えてきたように思う。
これらは、職人技とは対象に位置するものだ。

ゲーム内の背景はどんどん広くなる。画面解像度も増えていき(PS4 Proで4Kの時代が来てしまった‥)今の時代のグラフィックには「密度」も求められる。

そうすると「職人たちによる伝統工芸」の魅力ある作品感はどんどん薄れていく。

ノンフォトリアルな画作りでは、今はもう当時の画作りには敵わないように思う。
一見ポストエフェクトでリッチに見えるかも知れないが、ボリュームが増えた分全体的には粗い作りにどうしてもなっている。

ドット絵に関しては、SFCやPS1時代は極まっていたように思う。
アーケードゲームも同様だ。
例えばタクティクスオウガ。例えばメタルスラッグ。例えばストリートファイターIII

今でもモバイル開発でドット絵は沢山存在するが、当時のように有名なメーカーの一級の職人たちが描いたものとは性質が違う。
そもそも解像度が全く違う。
魅力的なイラストをなるべく省力化して活き活きと動かすというのが今の2Dの在り方に思う。

また、PS1やPS2でもローポリゴンのグラフィックは極まっていた。
例えばベイグラントストーリー。例えばファイナルファンタジー9~12(当然11も含む)。
例えばメタルギアソリッド1~3。

そんな中、例えばヴァニラウェアという会社は、職人たちによる極上のグラフィックを突き詰めたゲーム開発を今尚続けていると思われるが、SFCPS2時代‥黄金期とも思える時代の最後の砦に私には思える。

では、今時での極上グラフィック‥例えばファイナルファンタジー15はどうか?

非常に素晴らしいグラフィックで、日本が誇る画作りを成しているように思える。
しかし一方で、画作りはもはや1人の職人業でどうこうという域を遥かに超えているように思える。金銭も想像つかない額が投入されていることだろう。
また恐らく、開発スタッフは大人数化され職種や担当業務も細分化されているだろう。

何が言いたいのかというと、今のゲーム開発は職人によるものではなくなっているということだ。
古き良き技術はどんどん失われていき、昔のタイトルの中身を解析して出てきたものがオーパーツのように思える時代も近いように思う。

そんな中で、技術とは何か?それをどこまで隠すべきなのか?企業の強みとは何か?
今後、個人単位で必要になってくるスキルとは何か?

‥そういったことを最近ちょくちょく思う。
また、それらについて思うことを書いていきたい。

p.s.
今の時代でも、職人気質を感じずにいられないタイトルは沢山ある。
例えばギルティギア・イグザードシリーズや、ナルティメットストームシリーズだ。
この2タイトルは、今時の技術と職人業が見事に合わさったもののように思う。
また、日本が誇るアニメ文化に特化したビジュアル・世界観を前面に出しており、企業の強みを活かした非常に素晴らしい例であると感じる。

しかし、メイキングを見る感じではギルティギアの作り方は非常に職人的で、コアスタッフが欠けるともはや作れなくなるであろう危うさを感じずにはいられない。
ナルティメットストームに関しては顔芸など作り方にやはり狂気を感じる部分がある。
こちらは若さと熱意で何とかなっているのだろうかと想像する。

この2タイトルが、コアスタッフが別の新作タイトルにかかりきりになり、新メンバーでクオリティを落とさないところまでの開発環境に落とし込まれていれば非常にすごいことだと思う。
そしてサイバーコネクトツーはそれができている会社なのかも知れないと想像する。