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ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

Uncharted 4 について思うこと

ゲーム開発 ゲームレビュー

「Uncharted 4」をクリアまで一通りプレイして思ったことを書いてみる。
ただ絶賛するだけの声が多いので、逆に気になった部分を主に取り上げた。

 ※ほんの少しだけネタバレがあるのでご注意

まず、グラフィックの進化は恐ろしいほどではあるが、脳内でレベルをグレーボックス化してみればシリーズ通して遊びはほとんど変わっていない。
いや確かにロープアクションや坂滑り、ハーケン打ち込み、茂みに身を潜めて敵を強襲したりといった新しい要素が足され、地形やアクションのバリエーションは増えた。
それらは非常に良い効果をもたらしているとは思うが、冷静に考えると今作でようやくアクションゲームらしいバリエーションになったという感じで、これまでのシリーズが単調過ぎたように思う。
そして地形の構成バリエーションが増えた結果、悪い面としては正規ルートを見つけるのが分かりにくくなっている場所が増えたようにも思う。これはバリエーションだけの問題ではなく、色々と理由はありそうだ。
例えば、作中では入り組んだり屋内だったりと視界が遮蔽されたマップが多いため、ゴールを示すランドマークが絶えず見えるようなマップはほとんど無く、どちらへ進むべきなのか最終地点の方向がまず分からない。
その上戦闘が少ないので敵兵の出現位置を辿れば良いという訳にもいかない。
そしてしばらく迷った時に表示されるヒントの矢印こそは最終的なゴール方向を示してはくれるが、今いる地形でルートが分からない時には全く意味を成さなかったりもする。
その上開発者がルート構築にこなれすぎたのか、複雑にルートを組み過ぎているように感じられた。探索でパズルゲームをやりたい訳じゃないのに、半ばパズルゲームになってしまっている。

また、俯瞰して見ればストーリードリブンの一本道で、少し進むと地形が崩れるかカットシーンが挟まれて後戻りできなくなる‥というのを繰り返すため、緊張感は失われがちだ。ただしロードに非常に優しい作りでもあるため、相変わらず先のレベルの読み込みを全く感じさせない上にリスポーンも速いのは素晴らしい。

ちなみに今作は全プレイボリュームの中で謎解きや敵兵とのバトルの比率がマップ探索に比べて随分と減ったようにも思う。
逆に言うとマップ探索が異様に長くも感じた。ストーリーの続きが知りたくてプレイモチベーションはあるが、探索には飽きてうんざりしてくるという心理状態がちょくちょくあった。

重火器は種類が多すぎて、拾ったは良いが弾の補充に困るということが多い印象だ。
これは難易度を変えて周回したり、マルチプレイを遊ぶ際には遊びの幅が広がって良いのだろうが、ストーリーの初見プレイ時には種類が多すぎるように感じた。

敵兵とのバトル時のゲームオーバー演出や、プレイヤーが死亡した時のラグドールの挙動は結構大雑把なので少しホっとした。実際ここはコストを割く場所では無いと思うのでむしろ当然と言える。

ストーリーそのものは、良い意味でも悪い意味でもベタベタな展開ではあり、驚きは無かった。The Last of Usのような感動も無いし、いつも通りという感じか。
それどころか、今作は特に美しいマップがこれでもかというくらい次々と出てき過ぎているのもあるからか、秘境に辿り着いた時に目前に広がる情景への感動は無かった。エルドラドやシャングリラと比べると言ってしまえば設定的にも地味であり、コントラストが弱いのも仕方ないとも言える。
また、サム以外の新キャラ、例えばレイフやナディーンについては重要なポジションなわりに背景が描写されないため「ぽっと出」の小物臭が非常に強く、トレジャーハントへの動機や執着が今ひとつ感じられない。
特にナディーンの扱いはひどい。単独行動が多く神出鬼没で、隊を率いているとはとても思えないし、隊長らしさが無い。最後も「え、それでおわり?」という感じでもあった。
ただしエピローグは非常に良かった。
個人的にはサリーにもうちょっと活躍して欲しかった。

キャラクター同士の会話は楽しいが、少し離れると途端に声が小さくなって聞きとれなくなり、周辺をじっくり探索したい身としては「ちょっと待ってくれ」と焦ってしまう面があった。
敵兵のAI面では、視界の判定が大雑把に感じられて萎えてしまった。
兵士の視界が180度くらい(?)あり、本人の挙動としては気付く様子は全く無いが探索ゲージは機械的にみるみる貯まっていくあの感じがどうにもプレイしていて不自然に感じられた。

キャラクターの操作感については、相変わらずクセのある独特な挙動で、リアリティを重視しているためか小回りが利かず、目の前のNPCが邪魔な場合にその脇をスルっと抜けるようなことができなかったりする。また、アクションが増えたもののバトルが少ないので後半まで戦闘の操作に慣れなかった。
QTEの要素のあるイベント戦では、スムーズに進めるために何か条件があったのかも知れないが、敵がやたらしぶとく途中で飽きてくる印象があった。
ついでに言えばミイラ爆弾地帯は理不尽に感じられた。

グラフィックに関してはもう感嘆の息しか出ない。
単にリアルなのではなく、コンセプトアートと融合したような画作りなのは過去作やThe Last of Us同様に感じられるが、隙が無さ過ぎる。
しかも光の温かみと眩しさが、過去作とは一線を画しているように感じられた。
世間一般的な物理ベースレンダリング(PBR)をただそのままなぞるのではこうはいかないように思う。リアルの延長ではあるが、とてもアーティスティックな調整が入っているように感じられる。

Nortydogのメイキング動画や講演などから感じるのは、AAAタイトル規模としては非常に少数精鋭で、システマチックに分業されているようなものではなく職人が集まった‥どちらかというと日本に近しい匂いがする点。それも超一級のスタッフが集まっているという印象だ。
開発時にはSIEとも密接にやり取りがなされているだろうから、ハードウェアのスペックを極限まで活用しているだろうし、変態企業と称賛するような声も聞く。
その上で、合理的な部分は合理的なのだろう。
何せPS3でリリースされた初代Unchartedから数えると、もうすでに5本もリリースしているのだ。
2チーム体制とメイキングで語られていたようには思うが、それにしてもコンスタントなリリースであり、Uncharted 4では内部60人外部40人という話からもワークフローが完全に確立されているように感じられる(アウトソースでも内製と全く同じクオリティでアセットを作れるようにしたという話だ)。

‥という訳で、ビジュアルは圧倒的だがまだまだ色々な改善点があるようには感じる。
ただし企業としては正攻法であり、日本の作り方と比べて羨ましくもある。
つまりストーリードリブンのTPSという核があり、ナンバーを重ねるごとに大幅にシステムを変えるようなことはせず、着実に進化を遂げていくスタイルだ。これは国内でも一部のシリーズタイトルでは確立されているものもあるように思うが、「画期的なゲームシステム」に偏重する傾向を感じる。欧米と同じ土俵に立たずに得意分野やゲームのアイデア面で勝負すること自体は良いと思うのだが。

さて、今後としては純粋にNortydogの次回作、それも完全新作に興味が湧く。
The Last of Usは非常に良かった。期待したい。