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ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

ゲーム開発者の副業について

ビジネス・起業 スキル サービス

何かモノを作るクリエイティブな職業‥特にグラフィックデザイン分野においては、比較的ゲーム業界は労働環境と金銭面ともに恵まれていると思う。

様々な人から聞く話から総合すると、DTPやWebなどのデザイン会社・アニメ制作会社・映像制作会社・CGプロダクション、どこもゲーム開発会社と比べると納期がとても短くハードな状況が絶え間なく続く環境が多い印象だ。
また、給与もゲーム開発会社より平均給与は低いようにも思う。

しかしそんなゲーム業界も、IT系企業の中では給与は低い部類に入るように思う。
以前も書いたが、30代では年収350万前後が平均といったところじゃないか。
それが手取になると300万を割ったりする。
専業主婦の妻と子を養うには正直しんどいものがあるだろう。
倹約すれば十分暮らせるという意見も当然あるだろう。だが倹約は基本的にストレスの素でもあり、家庭円満の障害となりやすいように思う。

そんな中、手っ取り早いのは起業ではないかなと最近になって思うようになった。
今までは「起業」と言えばリスクばかり想像していたからだ。

調べるほどに、思ってる以上に簡単に起業は可能で、仕事もキャパシティに気を付けつつ継続して確保さえできればサラリーマン時代よりずっと報酬は上がりそうだ。
(ここで言う起業は個人事業主になることを指している訳ではなく、会社を設立して少なくとも2~3人の体制にしてそれなりの量・質の仕事を請け負える状態を目指すことを指している。オリジナルゲームの企画立案>リリースを行うのははっきり言ってギャンブルだと思うのでその業務はここでは含まない)

もちろんスムーズに仕事を引っ張って来るためにも、会社を辞めるまでに根回ししておかねばなるまい。その点については後述している。

とは言え、起業するには思い切りも必要だろう。
かくいう私もまだ起業したことが無いのだから説得力はゼロだ。

 

前置きが長くなってしまった。

何が言いたいかというと、結局みんな知りたいのは「楽して儲けられる副業は何かないか?」ということなんじゃないかと思う。
そして「実際にどれくらい儲けられるのか?」だ。

スマフォ向けゲームは当たればでかいが当てるのは大変だ。
コンシューマ向けは絶望しかない。
会社がひぃひぃ言ってる状態で「給料を上げろ!」と強く言えるほどツラの皮は厚くない。
そうするとお金を稼ぐには副業しか無い訳だ。

 

では、ゲーム開発スキルを活かせる副業にはどんなものがあるかを挙げてみよう。

1. ブログでアフィリエイト
2. 本を執筆する
3. 学校で教える
4. ワークショップで教える
5. チュートリアルを売る
6. 制作物を売る
7. 同業他社の仕事を請け負う

といったあたりではないか。
もちろん、ゲーム開発に全く関係の無いスキルの場合でも、何か活かせるものがあれば仕事を請け負ったりコーチングしたり講演したり執筆したりと色んな手立てがあるだろう。

日本の法律では正当な理由なしに会社は副業を禁止できない。
ただし二重就職はどこも禁止しているだろうから、「給与所得」を得るような仕事に就かないよう注意が必要だ。
3の「学校で教える」場合には、給与所得ではなく雑所得になるよう学校に掛け合おう。

では、1つずつ簡単に説明する。

 

1. ブログでアフィリエイト

こちらに関しては「島国大和のド畜生」や「3D人-3Dnchu-」くらい有名にならないと難しそうではある。実際のところアフィリエイトで稼ごうと思うと最も大変そうだ。

島国大和のド畜生
3D人-3dnchu- 毎日更新CGニュース&ツール情報サイト!

だが、アクセス数が稼げるようにさえなれば月数万円は夢ではないかも知れない。
継続して続けるには読者が喜ぶ情報ネタと書き続けるマメさの両方が必要だろう。
とりあえずはブログを始めるだけ始めておいて、他の副業と平行させるのが常套手段だろう。メインで稼ぐのは難しくとも、副業方面の宣伝媒体としても機能させつつ、副業の窓口の役目にもなる。ポートフォリオとしても機能させたいところだ。
twitterもそうだが、仕事の手を広げるには自己プロデュース力がある程度必要と思う。

また、アフィリエイトが大した収入にならずとも、何かしらTIPS記事を積み上げていけば、それをまとめて書籍化することもできるし、出版社からオファーが来る場合もあるだろう。
ニッチなテーマであるほど目立てるし、今流行りのテーマ‥UE4などもアクセスを見込めそうだ。

 

2. 本を執筆する

こちらに関しては今は随分と敷居が下がったように思う。
何もいきなり出版社に持ち込めと言ってる訳ではない。
まずは同人誌だろう。
昨今は技術者向けの同人誌が随分と増えている。DCCソフトの本、プラグインの本、マイナー言語の本、レンダラーの本、etc。コミケ前にはそれらの宣伝ツイートをいくつも見かける。この分野自体、年々認知度が増していっているように思う。

印刷にせずとも電子書籍にしてもいい。
なんならPDFを直売りでも良いのだ。これなら誰にだってできる。
販売代行サービスは色々とある。手数料も様々で、手数料が無いサービスもある。
もし「執筆することが無い」と思うなら、まずは自身の能力を見つめ直した方がいい。

ちなみに出版社による出版に関しては、扱っているテーマがニッチすぎると本になりにくい。日本の開発者人口的にも採算が取れないからだ。しかしオリジナリティのある切り口も求められるとは思う。

 

3. 学校で教える

こちらは案外ハードルが低い。どこの学校も現役の開発者の講師を求めている。
必要とされるスキルがどんどん変化していっている。
例えば今ならUnityやUE4を教えられる人はいないか?という話をよく聞く。
今の時流に沿ったことを教えられる講師は全然足りていないようだ。
特に現役の開発者となると尚更貴重な存在だ。つまりゲーム会社で働いている誰もが、学校側にとってレアな人物だと思ってもらえる可能性がある。

また、会社員とは違って外部講師というものは学校の掛け持ちも可能だ。
平日が望まれるが会社員だとまず無理だろう。土曜でも大丈夫な場合が多い。
TGS前などの繁忙期でも土曜を授業のために確保できるかどうか、または土曜出勤しないといけなくなった場合に学校側に柔軟に対応してもらえるかが決め手だ。

 

4. ワークショップで教える

こちらは3と違って学生ではなく業界人や一般人向けに実習スタイルで料金を取る方法だ。
ゲーム業界で一般的なセミナーでは、ボーンデジタルなどの企業が開催して著名な講師を招いたものでも無料であったりするケースも多く、個人が開催して有料でというのは厳しいかも知れない。純粋に内容勝負になるだろうが、お金を稼ぎに行くスタイルで開催して会場費を抑えつつ集客するというのはハードルが高い。
なので、ワークショップが良いだろう。

問題は会場だが、世の中でワークショップが開催されている会場に注目して問い合わせていけば、ありがたいことに提供して頂ける場所が見つかるものだ。学校で講師を行っているとこの辺りも同時に解決できたりもする。
内容は広範囲に渡って入門的なものから実用的なものまで需要は沢山あるように思う。

 

5. チュートリアルを売る

こちらは主に海外のチュートリアルサイトでTIPS動画を販売する方法を指す。
ただしこの場合は英語が操れることが必須となる。
喋ることができなくても英語字幕を加えられれば良い。
海外のツールやTIPSのチュートリアルは多いように見えるが、案外ゲーム開発者向けの実践的なチュートリアルは少ない。

ある程度、動画が貯まってきたら日本語字幕を入れてDVDにまとめて売ればいい。
これは2の「本を執筆する」と同じようなものだ。

 

6. 制作物を売る

こちらは5のような制作TIPSではなく、完成したアセットそのものを売る。
特に海外に販売可能なサイトが多いが、国内にも販売サイトはある。

何もモデルだけが商品になる訳ではなくて、自作のテクスチャを寄り集めて「テクスチャパック」として売ったり、ちょっとした動画を映像作品向けの動画素材として売ったりということも可能だ。

もちろん個人ブログで直接販売してもいい。
しかし今ならUnity5やUE4のアセットストアで販売するというのもアリだろう。
プログラマならツールやプラグインを売ればいいのだ。
会社にもバレにくい。開発者であれば最も現実的な選択肢ではないかと思う。
ただし、UnityやUE4のアセットを売る場合にはバージョンアップに伴う保守が大変そうだ。それから英語での説明文の用意なども必要かも知れない。

 

7. 同業他社の仕事を請け負う

こちらは副業の中では最もNGに近い。
場合によってはアウトだろう。会社への背任行為とも受け取れる。
スマフォ向けのカードイラストなんかも当然こちらに当てはまるので注意が必要だ。
会社を辞めてもいいくらいの覚悟で臨むことをオススメする。

グラフィック案件でよく来る依頼はイラスト、キャラモデル、キャラモーションだ。
キャラモーションは3Dとは限らない。Live2DやSprite Studioを使用しての2Dアニメーションの依頼の場合もある。
1体とか1モーションの単価での依頼が多い印象なので、本業の忙しさとキャパシティに合わせて引き受けやすいとは思う。が、本業と全く同じお仕事なので当然締め切りに追われるし責任も圧し掛かる。また、せっかくのプライベート時間が安まらないものになる。
だが、最後に書いているが、それでも請け負うメリットがお金以外にも沢山あるのだ。

 

さて、偉そうに講釈を垂れた私自身はどうなのか?と思われることだろう。
私の場合は本業への影響を最小限に抑えたいのもあり、全く無理しない程度に副業しており、大体年に70万前後の稼ぎになっている。
これを多いと思うか少ないと思うかは人それぞれだろう。
何かを販売する場合は商品が増えるほどに知名度も上がり、商品単体の売上は徐々に落ちていくものの総合的な売上面で有利になっていく。中には年に100万、200万といった単位で稼いでいる人もいることだろう。

ただ、副業は間違いなく独立の助けになる
本業とは別に実績と信頼を積み上げて、仕事のツテを増やし続けられるのだから。
少なくとも3社。
継続的に仕事をもらえる「お得意様」になって頂けることを目指したい。

また、会社員でいると危機感を失い易いものだ。
いや、会社が儲かって仕方無い状況でも無い限りなんとなくの危機感は常にあるだろうが、突然会社が無くなっても生きていけるか?というのは日々自問して社外の情報を取り込んでいないと具体的には自覚できないものだ。
開発が長引くほどに、日々の業務で「お金を稼いでいる(頂いている)」という感覚は無くしやすいし、予算も意識しない身分だとお金を貰って当たり前という感覚に浸り切ってしまう。それは仕方なくもある。1日全く何も仕事が手に付かずに終わり「今日俺は人件費5万円無駄にしてしまったわ‥」と自らを戒めるスタッフなどいないだろう。

だが副業を行うことで、世間一般で自分のスキルがどの程度通用するのか、どれくらいの稼ぎになるのか、具体的な経験値になっていく。
本業よりももっと限られた時間内で、自らを完全にコントロールしないと続けていけない。
これは実績を積み上げるとともに大きな自信にも繋がる。

 

さて。
IT系のブログ記事なんかで「サラリーマンよ副業せよ」とか「副業を認めない会社はダメな会社」みたいなエントリーをちょくちょく見かけるが、自分は100%肯定できない。
会社側の立場に立つと、従業員はプライベートはしっかり休息したりインプットに使って、アウトプットは本業に注いで欲しいものだろうと思う。本人の評価も、就業時間内に会社にどれだけの利益をもたらしているかで行われるべきものだろう。なので、副業で得た経験やスキルが本業に活かされているなら、それ自体は会社側にとっても喜ばしいことだとは思う。
また今の会社でやりたいことが明確にあるなら、心底良いものを作り上げたいなら、本業で力をフルに発揮できるようプライベート時間を活用する方が良いと思う。
なので、私は無暗に副業を勧めたりはしない。

そして副業はまだまだ大っぴらにできるような空気では到底無い。
副業を認める社則を公言する企業も徐々に増えてきているとは思うが、そうでなければ副業したければハンドルネームでなるべくバレないように立ち回って、独立したら堂々とオープンにすればいい。

今の会社にずっといるつもりは無かったり、将来フリーランスになったり起業する気でいるのであれば、副業をするのはとても良いように思う。
会社員をやりながら、これほど手軽に独立に向けての準備になる方法は他には無いのではなかろうか。