ゲーム開発者が偉ぶるブログ

ゲーム開発のビジネスやマネジメントについて日々思うことをあれこれ偉ぶって書き綴ったもの。

大規模開発に求められる人材

PS4の時代になって感じるのは、さほどパフォーマンスは上がってないのにできることは増えたため、開発コストがPS3からさらに跳ね上がり、新しいことを行おうと思った際のリスクが極限まで高まっているという点だ。

しかも当たっても大したリターンにならない場合がほとんどではないか?

元々ギャンブルに近い業界だったが、スマホゲームが計算高く稼ごうとしているのとは全く対照的に、もはや商売を通り越して、買っても誰も得しないチキンレースのようになってきている。

そんな時代だからこそ、ちゃんとコンスタントに大きなタイトルがリリースできている会社だけがまともに開発・商売ができているように思える。

ちょっと冷静に各大手企業の看板タイトルの据え置きでのリリース状況をみれば、どこも非常に怪しい内情なのではないかと思わざるを得ない。実際非常に辛い状況なのだろうと想像してしまう。

コナミ小島プロダクションを閉鎖したという話が話題に上がった際にはコナミの経営者が悪者として語られるが、経営する側からすれば内製で莫大なお金をかけて開発するのはリスクが高すぎるし、これ以上リスクを高めることこそまともな経営とは言えないような、そんな状況になってきているように思える。

結局、日本は欧米のようにアセットの大半をアウトソーシングしてコンスタントにリリースするということができない国なのだ。

「俺の技術を盗んで覚えろ」といった自分にも他人にも厳しい職人達が集まって非常に洗練されたものを作り上げてきたところへ「海外の企業にうまく指示を出してクオリティ高いものを計画通りに量産してね」などという作り方への移行がうまくいく方が奇跡だろう。

それでも据え置きの「大規模な」ゲームを作るとすれば、現場に必要なのは「割り切る」ことができる人材だ。

それはゲームのアイデアであったり、表現や技術の取捨選択であったりする。

選択と集中」と言い換えてもいい。「捨てるスキル」と言い換えてもいい。

それを率先して提示してチームを引っ張っていける人材こそが救世主になるだろうし、そういうことができているタイトルだからこそリリースされているのだろう。

逆にそういう人材がいないチームは不幸だ。多くのスタッフを疲弊させ、企業自身も疲弊させる。

まる三年で作れるならまだ許容ラインかも知れない。だが、開発に四年を超えたタイトルはもはや商売としてアウトと言えるのではないか?

元々限られた制約の中でアイデアと職人芸で勝負してきた日本人なのだから、その殻を破って海外に対抗したいのなら、黒字を確保可能な目算のある範囲内で少しずつステップアップしていくべきだろう。